行ってはいけない!世界一周。世界一周をするべきでない5つの理由

サスケです。「まだ世界一周に行きたいの?」というタイトルのほうがいいかなーと思いながら、このフレーズが使えるほどの実力はまだ私にはありませぬ。

さて、日本に帰ってきてから友人知人に会って「世界一周してきた」ことを話すと、皆口を揃えて「いいなぁ。私も行きたい」と曰われますが、その度に「やめといたほうがいい」と説明しています。

大学生や10代、20代の若者であれば、ただ海外旅行をする価値はあると思います。それこそ「外国がどんなところか感じたい」でも「絶景を見てみたい」でも、若ければ若いほど刺激も影響も強いでしょう。

社会人を少し経験した20代中盤であれば、10代と違って社会に対する目線が大人になっているのでただ貧乏旅行で絶景を見るだけの旅行よりましな経験ができるかなと思います。

よくないのは30代に入ってからの世界一周。30代だとただ「絶景が見たいから」という理由だけではなんだか薄っぺらい。自分なりのテーマを持った旅行でないと辛い所です。

一番よくないのは私達のような「夫婦で新婚旅行ついでに世界一周」です。なんのテーマもない旅行をしていると悲惨です。

なぜそう言えるのか、なぜ世界一周に行ってはいけないのか、1年間の世界一周を終えた私がたっぷりとレクチャーしたいと思います。

1.「非日常」の連続の果て

趣味:旅行

というのは例えば「趣味:音楽」というのと全く違う性質を持っています。趣味とは一般的には「日常的」に楽しめることですが、旅行は唯一「非日常」を楽しむ趣味です。旅行が趣味の人は「非日常」が好きだから旅行が好きなのです。

世界一周は「非日常」の連続です。遠く日本から離れ、風の向くまま気の向くまま、行きたい所へ行き、食べたいものを食べ、見たいものを見る、それはそれは刺激的な日々。

日本を離れ数ヶ月、海外のご飯にも慣れ、様々なトラブルも経験し、ようやく旅慣れて来たなと実感する日々の中、それは知らず知らずのうちにひたひたと旅行者の背後に忍び寄ってきます。「非日常」の繰り返し、「非日常の日常化」です。

「非日常」の連続が「日常」になったとき、もはやそこに「非日常」はありません。旅行期間が長くなればなるほど、経験を積めば積むほど、感動は薄くなり、観光は義務になり、移動は苦痛になっていきます。

難しく言いましたが簡単に一言でいうと「旅行も飽きる」ということです。旅行は「非日常」を感じられる期間がちょうどいいのです。

2.非効率的な時間の過ごし方

Lonelyplanet Norvegia e Svezia

普通の「非日常」の旅行の場合、限定された時間をいかに有効に使うか誰もが頭を使いますし、旅行に行く前にある程度その土地のこと・観光スポット・グルメ情報などを調べてから行くのが普通です。行き先について調べている時間こそが一番楽しい時間なのかもしれません。

現地についてからはアドレナリンも増し、多少疲れがあろうともやりたいことをやりきることに集中するでしょう。

しかし、世界一周となると勝手が違ってきます。次の行き先のことを調べているその時、今現在も旅行中なのです。

従って現地の情報は現地に行ってから調べている事も少なくありません。既に現地にいるにも関わらずやっと宿で現地の情報を調べているというパラドックス

結局十分な下調べもせずに街歩きを始めて必須のスポットを逃してしまい、後になって気づくこともしばしば。

加えて歩き回りすぎて疲れて果ててしまっていては次の都市への移動もままなりません。20代の体力旺盛な若者であればともかく、30代を過ぎたジジイにとっては明日を健康に過ごす体力も残しておかなければならない。

その結果、前述の「飽きる」現象も重なって必然的に観光する時間も短くなり、外にいる時間より宿にいる時間のほうが長い、なんてこともしょっちゅう。一体何しにきたのやら。

生産性の向上を声高に叫ばれるこの時代に時間の浪費も甚だしい。世界一周は非効率的過ぎます。

3.割高な旅費交通費

Airplane

日本から往復するわけではないので安くすむと思いがちな交通費ですが、実は世界一周旅行の交通費は意外に安くありません。

なぜなら前もって予約して安い料金で行くような普通の旅行と違い、世界一周の場合はほとんどが直前に行き当たりばったりで次の行き先を決めていくためです。特に大陸間の移動時にどうしても利用せざるを得ない航空券に関しては、相応の予備知識がないと割高になってしまうことが少なくありません。

加えて宿泊費もほとんどが直前の予約のため、割引がありません。時期が運良くシーズンオフであればラッキーですがそんなことは1年旅行してて1回あるかないかです。

需要と供給のバランスによって価格が変動するのは資本主義の原則ですが、交通費(航空券)と宿泊費はその最たるものです。そして直前は、大抵いつでも高い。結果的に世界一周は割高な費用を払う場合がほとんどです。

その場その場で行き先を決めながら行くのが世界一周旅行の醍醐味とは言え、旅行の期間がある程度決まっているならば、「この時期には多分このあたりに行く」ぐらいのざっくりとした予定は立てられるはず。であるならば「世界一周航空券」の購入も視野に入れるべきかと思います。そのほうがいい飛行機に乗れてかつマイルも貯まってお得なはず。もしもう一度世界一周に行くなら、私なら必ず検討します。

4.危険な夫婦旅

Fight!!

夫婦で世界一周の何がいけないかって、「365日24時間ずっと一緒」ってこと、これにつきます。「(夫婦で)世界一周なんて絶対に行くべきでない」理由にこれをあげると、「いいなー私も行きたーい」なんて言っていた人は途端に黙ります。付き合いたてのカップルならまだしも、それが普通の反応です。

夫婦で世界一周をすると、普通の夫婦なら10年くらいかけてゆっくり醸成していくであろう夫婦の時間を、1年くらいで一気に過ごすことになります。

新婚の空気なんてどこへやら、最初は新鮮に感じていた「自分とは違う感覚を持っている人」という言葉も、「自分と合わない人」という言葉にいつの間にかすり替わり、いちいち小さい事で言い争いがおこります。

喧嘩しても気軽に相談できる友達や家族もいない。危険なのでひとり外に出ていくわけにもいかない。苛ついた気持ちを発散できる場所もない。旅行中の夫婦喧嘩は関係修復も自分たちの中だけで処理するしかありません。

適度な距離があるからこそ上手くいく。夫婦なんてそんなもんです。

5.遠回りの人生設計

Detour

貧乏旅行する学生の旅行資金ならいざ知らず、少なくとも夫婦ふたりで1年間世界一周するぐらいの貯金があれば、普通の夫婦ならそれを頭金にマンション購入や家を建てることを考えるでしょう。

それ以外にも例えばそのお金を元手に起業だってできるでしょうし、我々のような飲食経験者であればお金を借りてお店を出すことだってできるでしょう。

やっとの思いで貯めたお金、多くの人は時間を犠牲にして貯めてきたであろうお金、これを元銭にして今度は時間で稼ぐ方法ではなく事業で、投資でお金がお金を稼ぐ状況を作ることだって可能なわけです。それを世界一周に使ってしまう事によって、帰ってきてから人生を生き抜くためのお金をまた一から貯めなければなりません。

30代になると日本に帰ってきてから働く場所を確保することだって容易ではありません。

若いうちならまだ取り返しがつきますが、いい年こいた大人が世界一周をするにはそれなりの覚悟が必要です。

さいごに

これだけデメリットを言われても、それでも世界一周がしたいんだという方は仕方ありません。逆に言うとこれしきで行かないと決められるのなら、それほど行きたいわけでもない人です。

それでも世界一周に行きたいという人は是非行ってください。死ぬまでに絶対見ておきたい景色、子供の頃から憧れていた国のひとつやふたつ、誰にだってあるでしょう。

普通に日本で生活している人には絶対にできない経験がこれでもかというほどできます。その経験はきっと、行かなかった自分よりはるかに多くの知見と心の豊かさをもたらすでしょう。

しっかりと準備をして、帰ってきてから「本当に行ってよかった」と思える世界一周をしてください。

よい旅を!

お粗末!

Copyright © saruhack All Rights Reserved.