(続)ヨーロッパ旅行はテロに気をつけましょう。現地から。
ヨーロッパへ旅行に行く。その際気になるのはやはりこのご時世、テロの脅威ではないでしょうか。テロに気をつけてって言われてもどう気をつけたらいいの?と思って調べたのがこちら。
この記事は旅の再出発前(2016年7月)に書いたのですが、今回はその続編で2ヶ月半かけてヨーロッパを回ってきた際に感じた事をレポートします。
テロを警戒するヨーロッパ
我々の滞在時は幸いにもテロ事件もなく無事に過ごせましたが、色んな場所でテロを警戒する場面を見ました。
と言ってもこれはあくまでも数日間滞在した旅行者が目にしただけの話ですので、例えば「警官の増員」や「監視カメラの増強」や「潜在するテロリストの調査と摘発」などの状況は全くわかりません。
旅行者が一番「警戒しとるなー」と感じるのは、やはり駅や観光地に警官ではなく「軍隊」がいることかと思います。こんな感じです。
こちらはパリのノートルダム大聖堂の近くですが、我々が行った時は10名前後の軍人さんが銃(ライフル)を持って見回りをしていました。
写真ではわかりませんが、銃をしっかり両手で持ってトリガーに指をかけたような状態で見回りしてますのでかなり緊張感があります。たぶん安全装置はかかっているのでしょうが。
こういう光景を見れば一目瞭然で「ああ、テロに警戒してる国ってこうなのね」と分かります。
さてではこの光景、ヨーロッパ全体がそうなのかというと、実はそうでもありませんでした。
色んな国を周りましたが今回は特に、以前のエントリーで言及した「最もテロの恐れのある国(High Threat)」の5カ国(イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、ベルギー)のうち、イギリスを除く4カ国+イタリア(イギリスだけ行ってませんので)について書いてみたいと思います。
私が見た限りなので、あくまでいち旅行者の個人的主観だということは先に述べておきます。
フランス
(モン・サン・ミッシェルの麓にて撮影)
最も警戒度が高いと感じた国はやはりフランスです。
「非常事態宣言下」ですので当然といえば当然。主要駅や主要観光地には必ずと言っていいほど軍人さんが見回りをしていました。
ニューヨークで爆弾事件が起こった次の日、ちょうどフランス国内をバスで移動したのですが、それがあったからでしょうか、早朝のバスターミナルは軍人さんだらけ。バスの中では初めて警察にパスポートチェックもされました。
これが当事者意識のある国(実際にテロに遭った国)の当然の行動なんだなと。
また、あの事件のあったニースにも行ってきました。事件から2ヶ月ほど経って、街は平常を取り戻しているようでしたが、こちらでも狭い路地で軍人さんが目を光らせて歩いているのを見ました。
現場の道を実際に歩いてみて、あんなことがあるとは夢にも思えないようなのどかで平和な光景に、「こんな所でテロが起こるなら、この先どこでテロがあってもおかしくない」と強烈に思わされました。
ベルギー
写真ありませんが。こちらもテロリストの温床とまで言われる国で、今年空港で爆弾テロにあっているので当然のように街や空港にはしっかり軍人さんがいました。
ブリュッセルの一番有名な観光地グランプラスでは日曜日に軽いお祭りのようなイベントが行われていましたが、その際は広場に入る路地を通行止めにして荷物検査をしていました。
ただ検査をするのが一般人のボランティアスタッフみたいな人で目視確認だけだったので少し安心感にかけるかなーという印象はありました。
もちろんそんなイベントをじっと見ることもなくその場からそそくさと退散しましたが。
イタリア
(ローマ テルミニ駅にて撮影)
以外にも、と言っては失礼でしょうか。ISから「次はイタリアだ」と名指しされているとは言え、まだIS系のテロは起こっていない国です。
High Threat5カ国には入っていませんが、警戒度はフランスに次ぐ高い警戒意識を感じました。
イタリアはギリシャの次に2番目に入ったヨーロッパの国だったので、当初この軍人さん達を見た時は「これが今や世界の常識か」と思いましたが、他の国を回るにつれ、「イタリアって実はすごいテロを警戒していた国だったんだな」とわかりました。
ミラノのドゥオーモでは付近を軍人さんが見回りをしているのはもちろん、入場時の検査もちゃんと軍人さんがやっていて、カバンを開けての目視確認と金属探知器チェック、さらに服の上から触ってのボディーチェックまでかなり入念に行われていました。
おかげですごい並ばされたけど、「ちゃんと対策をやっている」感はありました。でもそれで「安心感」があるかと言われれば逆にそれだけの脅威がある(確率が高い)と思われるのでなんとも言えませんが。
南からの増え続ける移民の問題もあるからでしょうが、「イタリアはとてもテロ対策に力を入れてるんだ」ということは分かりました。
スペイン
(バルセロナ サグラダ・ファミリアの近くで撮影)
スペインもさすがにバルセロナのサグラダ・ファミリア周辺には軍隊が常時見張っていましたが、その他はあまりみかけなかった印象です。
マドリードではリーガ・エスパニョーラの試合を見に行きましたが、一応の荷物検査(目視)があったり、サッカー場の周りには警察はたくさんいたものの、そんなに警戒している感じではありませんでした。
マドリードの列車で起こった大規模なテロ(約200名が死亡)は2004年のこと。私もそんなことあったっけ?と思うレベルだったのでいけませんが、あれからもう10年以上経っているからか、あまり軍をみかけないのでいまいち緊張感はありませんでした。
日本人観光客もスペインならまだ(記憶に新しくないから)安心感があるのでしょうか、パリよりもバルセロナのほうが多かったような気がします。
でも本当はそういう状態のほうが正常なのかもしれませんね。
※2017年8月にこのバルセロナで車を使ったテロが起こったので、しばらくはスペインも警戒度はあがるでしょう。
ドイツ
最後にドイツですが、意外にもびっくりすぐるらい無警戒だなという印象でした。
銃乱射事件があったばかりのミュンヘンと、首都ベルリンに滞在しましたが、どちらも軍隊もいなければ、警官もほとんど見ない。正直大丈夫か?と不安になるほどでした。
ミュンヘンは夏場だったからか昼間からみんなビアガーデンでビール飲んでるし、ベルリンは自然が多いからかどこか開放的でのんびりとしてるし(自分の問題か)。
電車は信用乗車方式とかいって改札がない(人がいない)ので誰でも入り放題だし。
イタリアからスイスを抜けて次にドイツに入ったので、イタリアの状態を思い浮かべて行って余計に肩透かしを食らい、そんな印象を持ちました。
もしかしたら私が見えてないだけなのかもしれませんが。
※2016年12月にベルリンで車を使ったテロが起こったので現状はもう少し警戒度が上がっているかもしれません。
我々が取った対策
具体的に我々が取ったテロ対策、と言えるかどうかわかりませんが、できる範囲の対策ということでどんなに治安のよい土地でも夜遅く、特に金曜日の夜遅い時間だけはなるべく外出しないようにしていました。
これは一応私なりの統計なのですが、フランスのパリやニース、ドイツのミュンヘン、バングラデシュのダッカなど、テロが起こっているのは金曜日の夜が多いからです。
我々夫婦があまりお酒を飲まない、「クラブでイェイ!」なんて絶対にしない、夜景が見たいともあまりならない二人なので、自然と夜間はごはんに行くだけか、大半はキッチン付きの宿に泊まって夜は自炊するというスタイルでしたが、そんな中でもなるべく金曜日の夜の外出は控えるようにしました。
備えすぎかもしれませんが、あまり夜の外出しないくせに、たまたまその日だけ外出して巻き込まれたなんて一番嫌な結果なので。
ヨーロッパ以外の国々
ヨーロッパ各国の様子について書いてきましたが、テロがあるのはヨーロッパだけではありませんし、何らかの対策をやっている国も他にたくさんあります。
あまり知られてないかもしれませんが、アジアなんかでもフィリピンでは少し大きめのショッピングモールだと必ずセキュリティがいて荷物チェックされますし、インドでは地下鉄に乗る時も飛行機に乗るのかと思うぐらいの荷物検査をしてます。(おかげで地下鉄乗るのにも一苦労なんですが。)
アフリカのモロッコでもフランスやイタリアのように主要観光地は銃を持った軍人さんが見張っています。
銃社会でない日本にそこまでの対策は必要ないのかもしれませんが、せめて人が集まるようなところや公共交通機関などは荷物チェックぐらいの対策を取ったほうがよいのでは、とも思います。
まとめ
そんなこんなで本当に幸いに無事ヨーロッパを通り抜けたわけですが、訪れたどの国も観光客はそれなりにいっぱいいました。
ただ、どこに滞在するときもやはりそれなりに「何かあるかもしれない」という緊張感は常に持っていましたし、嫁とも「今ここで何かあったらどうするか」とか、人がたくさん集まっているところを通る時は「ここは危ないかもなー」とか、そういう会話はよくしていました。
言い方は悪いかもしれませんが、日本にいて地震に備えるような感覚でしょうか。
ヨーロッパでテロにあうか、日本で台風・大雨・地震などの自然災害にあうか、その確率を天秤にかけるわけでもないですが、もし今後日本でフランスのようなテロが起こった場合、テロと自然災害のダブル危険地帯とみなされるのではないかと危惧してしまいます。
そういった意味では日本では今後決してテロが起こってはならないし、起きてほしくないなと思う次第です。
なんだかとりとめもないまとめになってしまいました。
現場からは以上です。
お粗末!